慈性書状
きやうへのほり候、廿六日にたつへう候しか、つれ候人のゝひて候時に、かくと
申候はさらんは、心にかゝらせをはしまし
ぬへう候て、きのふこくらくしへ申て
さふらへは、わさと御いての候けるよし
うけ給はり候て、御かたしけなさ申はかりなく候、
のひは申へきよし、こくらくし
よりおほせ事候ほとに申候て候、
六日は一ちやうたち候、いま一たひけさ
んにも入まいらせたく候へとも、
日かすか候はぬほとに、かまくらへも
のほり候はす候、これにそとし月
御心くるしうをもはれまいらせて候
つる、御心さし申つくしかたく
おほえさせをはしまし候、このよ
しを申させ給へく候、
(ウハ書)
「(切封墨引)
かねさはとのへ
申させ給へ 浄女」