氏名未詳書状
候しことの、かやうになりて候へは、
あまりにをそろしくも、
ふしきにもおほえて候、又、
さしたる御事の候はぬまゝに、 いふせう御事にて候
ほとのはるかさに、
心の中にはたかひておほえ候に、 返々よくゝゝ申させて候には
この事申はかりなく、
きもつふれておほえ候つるに、
いまはさりともと申候へは、
人々もちと心とりのへさせ給て候、かやうに
うけ給はり候、返々、よろこひおほえて候、 御心えて申させ候へく候、
又、まことに御わたりも
候はゝいかにうれしく候はんとおほえて候に、
夏中はことにたやすからぬ御事にて候らんと、
をしはかりまいらせて候、
『(切封上書)
<御返事>
めうせうの御房へ
<まいらせ候>』