氏名未詳書状

  せさせられ候に、
  くして申て候へとも、
  これはかりを
  たひ候はぬ時に、はしたなくも
  申され候はて、しあつかいてこそ候へ、
  さて、としのくれにハ、入御事にてや
  候らむとて、はり五十、をひ一
  まいらせ候、うすやうも
  候まゝに、一帖まいらせ候、これの殿も、
  あまりにとく、くたり
  たからせ給候へは、
  京のなこりハをしく候へとも、
  又、みまいらせ候はんするハ、
  うれしくおほえてこそ候へ、
  あはれ、春、みな
  御のほり候へかしと、
  それのみねんしまいらせてこそ候へ、
  この十月の廿日ころより、風のけ
  わつらはしく候て、さとに候へは、
  としのより候ゆへと、
  心ほそくおほえて候にも、
  はゝ御前の十三年の
  仏事もし候はて、しに候はんする
  やらむとおほえ候て、あなかしく、
あまりにひさしく
御文もみまいらせ候はぬハ、
いふせうこそ候へ、さても、八月にて候
しやらん、御あつらへ候し
かたひら、そめてまいらせ候
し、御返事もうけ給候はす、
あまりにわろく候しかは、
にくさ、かたはらいたさに、御返事も
候はぬやらんと、返々、
あさまししくこそおほえ候へ、

まいりつき候はすは、おほつかなく
おほしめし候て、御たつねも候へきに、
なにともうけ給はり候はぬ
時ニ、たしかニハまいりて、わろさニ
御返事も候はぬと、すいし
まいらせてこそ候へ、おほかた、いつも
人の御物御あつらへ候事ハ、
思やうニしいたす事ハ候はて、
心くるしき事にて候也、
このゝちも、御心え候へく候、
ちんふても、いまゝて
まいらせ候はす、いかにせめ候へとも、
とかく申候て、かなえす候、
かうさゑもん入道かもとにて、
上の物ともを、

はりは百まいらせ候、

『(切封墨引)
 ゑん心の御房の御方へまいらせ候』

氏名未詳書状(詳細)

金文番号
2759
和暦年月日
(鎌倉時代後期)11月8日
成立
鎌倉時代後期
形状
竪紙(本紙・礼紙)
料紙
楮紙
法量 縦x横
32.1 32.1 * 49.7 50.0
紙数
2紙
紙背
(一)『秘鈔口決〈本鈔第八巻末〉』(釼阿本)第四紙、(二)『秘鈔口決〈本鈔第十八巻末〉』第十八紙
付加情報
本紙の右端に切封の跡あり、本紙・礼紙ともに影字あり、
整理番号
1296
最終更新日
2011/11/27