氏名未詳書状
にて候つるを、みちの程の
あつさに、たひにたち候はん事、
いかゝとて、とゝめられまいらせ候ほとに、
心ならすこの月はくたり候ましく候、
らい月のすゑにこれをたち候て、
八月になり候はゝ、とくゝゝ
くたり候へく候、しやうけん殿への
御こひしさ、けしからぬほとに
思まいらせて候、あまりにゝゝゝゝ、御
おほつかなくも思まいらせて候、ひんきの
候はんをりは、かまへてゝゝゝゝ、
ことなる事も御わたり候はぬ、
さてもけうくわんの御房に、
これにてけさんに入て候しに候、
かまくらの御やう、きゝまいらせ候も、
よにゝゝ、御いとましく思まいらせ
て候、とくゝゝまいり候はん
すれは、なに事も御文ならて申候へく候
よしを、御心え候て、御ひろう候へく候、
あなかしく、
『(切封墨)』