氏名未詳書状
御たち入候へきやうも候はぬ、 こまとの候を、
上さまの御気色にて候とて、
入殿よりとやらんとて、
めされ候つるほとに、中々々御ように
入へきやうなく候やうは、
人にてみせられ候へきよしを、
申てこそ候つれ、又そのゝち御
心地いかゝわたらせをはしまし候らん、
御おほつかなく、
おほえさせおはしまし候、
あまた御いて候つるに、
かすしくなき御事になり候ぬる、まめやかに
心ほそくあさましうおほえさせおはしまし候、
君たちもこまゝゝと、よにおほき御事にて、
女房なとのいかに御
なけきにて候らんと、御心のうち御いとをしく、
思やりまいらせ候、さても
申はかりなくかはゆけに人の
(ウハ書)
「(切封墨引) 円信御房
〈申させ給へ〉 すきのやつより」